<< 口裂け女とシオ吹き女 | main | お祭りサイコー (2001.08.24掲載) >>

2007/06/07 木

ペペのプロレス修行日記 (2001.08.02掲載)

【社長のひとり言《Classic》】

私の友人に、立川政市という柏市出身の俳優がいる。
そこそこ売れ、TVドラマやVシネマなどに出演している。
まぁ、どうにかこうにか役者稼業で食べていけるようになった。
彼が駆け出しで売れていない頃、よく一緒にスタジアムで柏レイソルの応援をしたものだった。
そう、その頃の彼は一般観客側の人間であった。
それが今では、逆に彼の舞台を観に行くようになり、観られる側の人間になったのだ。
見に行った舞台の内容は、あまり覚えていないが、1つだけ鮮明に感じたことがあった。
その舞台は、新宿にある小さな劇場だった。
『飛龍伝』という題名で、あらすじとしては昭和40年代の学生運動まただ中に青春を過した青年学生と機動隊が、現代で再び戦うという訳のわからない内容だった。
出演している役者(もしくは役者の卵たち)は、誰ひとりとして売れている者はおらず、立川の出番以外は退屈なつまらない時間になるなぁ・・・と思って見始めたのだが、出てくる役者がみな活き活きと演技してたのが印象的だった。
まさに若さで押し捲るその演技、その勢いが輝いて見えたのだ。
演じることが好きで好きでたまらいという感情が、観ている我々にひしひしと伝わってくるのだ。
公演終了時には、なんとも言えない爽快感に包まれ、出演者全員が美しく見えたものだ。
そして思った、自分が美しくありたいと思うなら、自分の好きなことに飛び込んでいけ、と。
進め、そして努力を惜しむな。

さて、次に紹介する者は、幼い頃からの夢をあきらめきれずに、サポーター仲間と別れて、単身プエルトリコに旅立った男の話である。
そう、彼の夢であるプロレスラーになるために・・・。
題して『ペペのプロレス修行日記』、始まり、始まり。

---
皆さん、こんにちは、ペペ(仮名)です。
太陽工務店に所属しながら、SMAPの森君のように夢を追いかけ、昨年の秋、他のメンバーから惜しまれながら太陽工務店を脱退。
そして、プロレスラーになるために、プエルトリコの”タカみちのく”率いる海援隊道場に入門。
そこでの修行のもようを、ウソ偽りなく日記としてここに記します。

■6月8日
成田空港から約9時間かけて最初の経由地シアトルに到着。
入国審査では、何故か自分だけ別室に連れていかれ、裸にされた。
アメ公は、俺のいちもつを見るなり、「オッー、○ッシー」と言いやがった。
○リトリス・・・じゃない、○ックだとぉ・・・。
まぁ、真性なので見間違えたのかもしれないなぁ。
しかし、頭にきたので思いっきりむいて、沢山たまった酒かすを奴らの頭に拭ってやった。
一人は失明、スティビー・ワンダーにしてやった。
その後、執拗な尋問を受けるも、なんとか入国を許可された。
しかし、次の経由地であるマイアミ行きの飛行機が大幅に遅れて、マイアミから乗るはずだったプエルトルコ行きの飛行機に間に合わなくなってしまった。
そこは航空会社のミスなので、次の便が出るまでホテルを用意してもらった。
ホテルのレストランでは、「イチローの弟のジローだ。ツケとけ」と言ってタダ飯にありつく。

■6月9日
予定より1日遅れでプエルトリコに到着。
とにかく暑い。
道場に着くと、スグに風呂に入った。
一番風呂だったのだが、むいて洗わずに湯船にはいったので、お湯がすぐに真っ白ににごってしまった。
他の道場生には、「今、日本でブームになっている甘酒風呂<いかの香り>です」と言ってごまかした。

■6月10日
久々の練習。
時差ぼけもあり、ひじょうに辛い。
少しづつ調子を取り戻そう。

■6月14日
練習が終わり、合宿所に戻る途中、パトカーの周りに人だかりが出来ていた。
白い布をかけられた人間らしき物体が歩道に横たわっている。
事故なのか、殺人なのか、なかなかお目にかかれないものを見てしまった。
興奮して、思わず性欲がたまる。
合宿所に戻るなりオナるが、その前にむいて洗わなかったので、部屋が大変なことに・・・。
なぜなのだろう、1日でコップ一杯のカスがたまる。
早くレスラーとしてデビューして、稼いだギャラで手術を受けよう。
余った皮を切らなくては・・・。
部屋には数万匹のハエが、俺のカスをむさぼる。
どうやらハエにとっては、ご馳走らしい。

■6月15日
今日はスパーリングだ。
自分一人に対して次々に相手がかかってくる。
空手でいうところの100人組み手に近い。
5分でスタミナが切れた。
こんな有り様では・・・・・・、本デビューの日が遠ざかる。

■6月16日
同期入門のYと道場で試合。
俺のダイビングヘッドが誤爆、試合に負ける。
部屋に戻り、しょげていると日本でのみゃ長の一言が思い出される。
「日本人で単身アメリカに渡り、成功した者のひとりにグレートムタがいる。彼は独特のメークと霧を口から吹く攻撃スタイルで全米を震撼させた。お前も技の他に、何かインパクトあるものが欲しな。体が小さいぶんなっ」
その言葉を思い出し、ハッとした。ムタが霧なら、自分は粕だ。
これだ、バシャ、ドロン、毒粕だ。

■6月17日
今日は久々のOFF、皆で海に行く。
砂浜でプロレスごっこをしていると、いつの間にか沢山のギャラリーに囲まれていた。


そして、声援や拍手を頂く、言葉が通じなくても面白さは伝わるものだ。
そうだ、今だ。当たって砕ける、毒粕攻撃。
バシャ、ドロン。
あまりの臭いの凄さで、周りにいたギャラリーの数名が嘔吐する。
いけるぞ、いける。
毒粕をかけられた相手は動けないでいる。

■6月20日
この3日間で2期生が5名、一時帰国する。
久しぶりに帰国する皆の表情には嬉しさがにじみでている。
俺も日本に帰りたかった。
しかし、次に俺が日本帰るのは、日本デビューするときだと強く思う。

■6月21日
人が減った影響で食事当番が3日に1度まわってくる。
献立を考えるが、あぁ、面倒くさい。
そうだ、といだお米に粕をドロンとかけて・・・・・・できた、「ペペ雑炊<いか風味>」
これが意外と好評だ。
おかわり、あっちでもおかわり。
おかわりの声がとぎれない。

■6月25日
気温40℃。
練習、練習、食事して練習。
その合間に雑用をこなす毎日。
でも、頑張るぞ。

『ペペのプロレス修行日記』 次回に続く・・・?