<< ペペのプロレス修行日記 (2001.08.02掲載) | main | 「勃て、ジャイアントロボ」福岡にて (2001.09.02掲載) >>

2007/06/19 火

お祭りサイコー (2001.08.24掲載)

【社長のひとり言《Classic》】

8月19日の日曜日、2ヶ月前から準備してきた”太陽テキ屋”の日がやってきた。
”太陽テキ屋”とは、A町の町内会が主催する盆踊り大会で屋台を出して、太陽工務店の運営資金を稼ぎ出すという企画である。
前日の柏の葉での敗戦の疲れもあって、事前準備のためにお昼から集まってきたメンバー18名のテンションは低い。
おいおい、そんなんでどうする。もっと元気をだせ。
盆踊り会場では、フランクフルトと焼きとうもろこしを売ることになっている。
便所に行っても小便くらいじゃ手を洗わない主義の俺たちだが、今回は食べ物屋ということで、さすがに大便をした後には、無意識のうちに水道の蛇口をひねっているではないか・・・。(でも、指先だけを濡らして、ハイ終わり。)

pm7:00、さぁ、よいよ祭りの開始時間だ。
日本人は祭り好き。太鼓のリズムで血が騒ぐ。
ドンドン、ヒャララー、ドン、ヒャララー
いやなこともぶっ飛ばせ。
俺は焼きとうもろこしを担当した。
すぐ隣では他のメンバーがフランクフルトを焼いている。
悔しいぐらいに、隣のフランクフルトが売れていく。
一方、俺のもろこしはさっぱり・・・。
こうなりゃフーテンの寅さん風の口上で、もろこしのたたき売りだ。
「もろこしいかがですかー。朝、とれたてのーもろこし。翌朝、そのまま出てきまーす。腸もきれいにお掃除、もろこしーいかがですか」
「クリーブランドのインディアンも大好物。モロコスィーいかがですか〜」
「お前の血を吸ってやるー。もろこしいかがっすかー」
更に目についた子供に対して、
「そこの僕・・・、もろこし好きか?・・・うん、お金ないのか?そう、じゃ親からもらってこい!」
そのうちに、
「そこのガキー、買え、このやろうー。食え、このやろー」
こんな調子で売っていたが、さっぱり売れない。
そうか、もろこしが悪いのだ。
もろこしは売れない不人気商品なんだ。
そこで、俺は隣のフランクフルト屋に鞍替えだ。
「フランクいかかですかー。そこのお嬢さん、フランクいかがですか〜。上のお口でおいしく食べて、下のお口で遊べるフランクフルト、いかがですかー」
「そのアベック、フランク買ったらプレイに幅が広がるよー」
お客が一気にひいていくのが分かった。
俺は売り場から離れた。

pm9:30、祭りが終わった。
これからは後片付けだ。
祭りが始まってからやってきたメンバーも合わせて約30名近くが居残って後片付けをしているではないか・・・。
これだけの人数で片付けると、さすがにあっという間だ。
そして、ひととり片付けが終わると、残されたやぐらの上で仲間の二人が全裸で終わりの挨拶をした。
ちょっと悪ノリが過ぎた。これは、後片付けで残っていた町内会のヒンシュクをかってしまった。
でも、楽しい、楽しすぎる、お祭りサイコー。
昨日のことが忘れられたひと時となった。

<おまけ>
お祭りつながりで、もう1つおまけのコラムです。
祭りと言ったら和太鼓である。
そのドンドン、カッカッ、弾ける音は日本人の魂を呼び覚ます。
時はセカンドステージの開幕戦、8月11日のことである。
その試合に向けて、新ネタとして和太鼓を持ち込んだ時の話である。
昨年から、小道具担当のメンバーに、応援で使いたいから和太鼓を探せと指令を出していた。
7月の終わりに連絡が入った。
「社長。見つかりましたよ、和太鼓」
「おぉ、見つけたか。いったい、どこに?」
「えぇ、仕事の取引先の蔵に眠ってました。その持ち主は、地元でも有名な金持ちで、家の庭にはプールもついていんですよ。貸すだけならOKとのことです」
「おぉ、そうか、そうか。ご苦労さん」
俺は、そう言って今回の働きをねぎらうと、ちょっと言いにくそうに口を開いた。
「ええ、でも1つ条件があるんです・・・」
「えっ、いったいその条件とはなんだ?」
「和太鼓を貸すから、その家の一人息子を太陽工務店に入れて欲しいというんです」
「なんだ、そんなことならOK、OK。喜んで、ドンドン」
そういう事で、和太鼓の持ち主、大金持ちの一人息子、通称 じへい君(仮名)が太陽工務店に入ることとなった。

8月11日 am3:00、東京スタジアム、アウェー側ゲート前。
翌日のセカンド開幕に備えて15名ほどが徹夜で並んでいた。
当然、そのそばには借りてきた和太鼓が置いてあった。
応援用のネタとして、さっそく使おうと持ってきたのであった。
その隣で横になる俺。
開幕ということで、なんとなく寝つきが悪い。
ふと見上げると、和太鼓が台に乗せられ、静かにたたずんでいる。
その和太鼓が、(俺をたたけ・・・、そのバチで・・・)と心に訴えてくる。
どうする・・・?
今たたけば、周りで静かに寝ている仲間全員を起こしてしまう。
でも太鼓がよんでいる。
うーん・・・、どうしよう・・・。
そうだ!俺が幼少の時分、信州にいたころに教わった、信州子守り太鼓なら、皆、もっとよく眠れることができる。
安眠増進で、開幕の緊張をほぐしてあげることができる。
そう思うと同時に俺はバチを握っていた。そして、太鼓の前に立っていた。
次の瞬間、和太鼓を「はぁー」の掛け声とともにたたいた。
ドン!ドン!カッカッカ、ドンドンドン!
深夜の東京スタジアムに太鼓の音が響いた。
寝ていたみんなが心臓を押さえながら飛び起きた。
全員、眉間にしわを寄せて、こちらをにらんでいる。あきらかに不機嫌顔だ。
「いやー、悪い、悪い。みんなをよく眠らせてあげようと思って・・・。でも、もうやめるよ、寝てくれみんな」
俺は素直にあやまり、再びゴロリと横になる。
しかし、しばらくして周りが静まりかえると、再び太鼓が俺に訴えてくるのだ。
(俺をたたけ・・・。そのバチでたたけ・・・)
結果、俺は30分後のam3:30に再び太鼓をたたいていた。
深夜の飛田給に太鼓の音が響く。
これを、俺は朝6時まで、30分間隔で繰り返した。
当然、全員、一睡も出来なかった。
俺は、ぜんぜん悪くない。
すべては和太鼓がさせたことだ。

さぁ、夜が明け、よいよ開幕戦となった。
構想1年、金額100万円、重さ40kgの和太鼓の出番だ。
FC東京側ではブラジルのサンバ隊が出てくる。
こっちは日本の盆踊りで対抗だ。
天童よしみの「大ちゃん数え唄」と伴に、いけ和太鼓!たたくはみゃ長。
しかし、和太鼓の音は、東京スタジアムの広いキャパとサンバ隊のブラジリアン・タイコの音にかき消されて、わずか4m四方にしか聞こえない。
懸命にたたくが、まったく駄目だ。
すると空からポツリ、ポツリと雨が降ってきた。
太鼓の持つ主であるじへい君が俺のところにやってきて言った。
「太鼓、水にぬれると皮がだめになるので・・・」
うーん、撤収だ。
構想1年、金額100万円、重さ40kgの太鼓は、わずか1分間で出番が終わってしまった。
撤収するにも重さがあるので大変だ。
結局、和太鼓は夜の3:00からのお笑いネタのためだけに飛田給にもってきた結果になってしまった。
(ただ単に、安眠妨害の道具になっただけという噂もあるが・・・。)
しかし、和太鼓は、必ずもう一度、みんなの前で(正確には枕元で)鳴響くぞ。
アチョレ!