<< 「勃て、ジャイアントロボ」福岡にて (2001.09.02掲載) | main | もっとも危険でゴージャスな暮らし (2001.10.29掲載) >>

2007/07/12 木

誰の為のキンタマブルース (2001.10.10掲載)

【社長のひとり言《Classic》】

あ〜さて、世間では同時多発テロだとか狂牛病だとか、悪いニュースばかりが跳びこんでくる・・・。
が、しかし、ここで皆さんにGoodなニュースをお知らせしましょう。
このコラムで、そして太陽掲示板でもおなじみのペペ(仮名)、あのペペがとうとうプロレス日本デビューを果たしたのだ。
おい、なんだよ・・・。
「あ〜ぁ・・・」と言ったのは誰だ!
どーですか、Goodなニュースでしょう。

ぺぺは、幼い頃からの夢であるプロレスラーになるために、タカみちのく の海援隊道場に入門したのだ。
プロレスを知らない人は、「なんで武田鉄也なの?」と思うであろう。
そうじゃなくて タカみちのく は、全国50ヶ国で放送されているアメリカのプロレス団体WWF(ワールド・ワイド・フェデレーション)で活躍しているレスラーなのだ。
おそらく海外で活躍する日本人アスリートの名前をあげろとアメリカ人に質問したならば、3本の指にはいるであろうレスラーである。
日本では、あまりおなじではないが、まぁ、とにかく有名人というこっちゃ。
その タカみちのく が主催する海援隊道場だが、場所は遠くプエルトリコにある。
そこで地獄の修行生活を約1年半おくり、今月、10月6日、晴れて大阪プロレス、デルフィンアリーナにて日本デビューを果たしたのである。
リングネームは『柏 大五郎』(ウソッ・・・)

黄色いショートパンツの下にひざ上5cmほどの黒いタイツ。
プロレス用語でいうところの田吾作スタイルだ。
足には福助の地下足袋。
スキンヘッドに口ひげをたくわえ、顔の配置は真ん中に集中したダウンフェイス。
得意技はダイビングヘッドとキャメルクラッチ、あとはなし・・・。
(うーむ、ちょっと技が少ないぞ)
10月8日までに合計3試合行い、3試合で3敗、惨敗、靖国神社に参拝という結果だったそうです。
しかも、試合内容もボロボロで、ボロ雑巾のようにされてしまったそうだ。
まぁ、当然といえば当然であり、前座の小僧レスラーは、当分の間、この状態が続くであろう。
デビュー戦ではそうとうやられたらしく、試合時間わずか8分でやられたらしい・・・。
しかも、その8分間、防戦一方で、殴られ蹴られ、最後は片エビ固めで1,2,3でフィニッシュ・・・。まさに、アジの開き状態。
デビュー2戦目は5分間、同じく防戦一方。
スリーパーホールドで落ちる寸前でなんとかロープに逃げて、さぁ反撃に出る寸出にドロップキックをあび、再び防戦一方。負けるな大五郎。
しかし、最後はダイビングボディアッタクで1,2,3・・・スルメになりました。
デビュー3戦目はちょっと違うぜ。
なんと関西地区の柏サポーターが応援に駆けつけてくれたのだ。
ありがとう、やるぜ大五郎は・・・。
しかし、最後はお刺身、おつくりにされてしまった・・・。生け作りです。

そんなボロ雑巾に俺は電話した。
彼の声は疲労とショックでさえない声だった。
「スピードについていけませんでした・・・」
そりゃそうだろう。
柏 大五郎は身長169cm、体重85kgとプロレスの世界では超小柄。
どう考えても跳び技、空中殺法ができないといけない体型だろ。
しかも、闘いのスタイルがどつき合いのガチンコでは、なおさら厳しい。
ゲームセンターのパンチングマシーンだよ。
ましてや、大阪プロレスといえば、数あるインディースプロレス団体の中でも、実力はトップクラスに入るほどのハイレベルと評価を受ける団体である。
ここでの1勝は容易ではない。
もっと減量してスピードを・・・と言いたいが、もやしっ子になってもなぁ・・・。
そこで提案だ。
お前の顔はマイケル・ジャクソン並に整形でもしないかぎり変わりようのない、生まれついての悪党ズラ。
もっとヒールに徹するべし。
それと、技が少ないよ!
ピンチの時にはローブロー(つまり金玉攻撃)で切り返す。
レフリーの目を盗んでローブロー。
たまに目潰し。
フィニッシュにはローブローで、またまた金玉潰し。
1に金玉、2に金玉、3で目潰し、4,5,6で金玉!これだ!
これしか、お前の道はない。
これでしか活路はみいだせない。
この際、リングネームも『柏 金玉』でいけ!!
とくかく金玉、金玉を狙え!
と10/8の晩、俺は電話口で彼に言ったのだが、
「デビューしたてのレスラーがろくに技も使わないで、金玉狙いでは、仲間からとてつもなくヒンシュクをかいます」と言い返してきた。
まぁ、ちがいねーや。
「それに、リングネームの『柏 金玉(カシワ キンタマ)』ってリングアナウンスしてくれませんよ」
「バカ!キンタマじゃない。コンギョクだ。『カシワ コンギョク』これならOKだろ」
「・・・・・・ハァ?」
まぁ、ちがいねーや。
でもな、奴はいつの日か、俺の狙いどおりローブローヒッター、そう金玉潰しをするであろうと予想する。
何故ならば、ペペのイチモツはとても小さく、しかも被っているのだ。
自分のものに強い劣等感を持っているのだ。
そのため、股間がもっこりと膨らんでいるレスラーを見ると、その感情にメラメラと火がついてグッシャッと潰したくなるのだ。
当然のこと、相手からの報復は覚悟の上だ。
だが、柏 大五郎のイツモツは自らの下腹にめり込んでいるからローブローは効かないよって訳よ。
いけるだろ、大五郎・・・と、アドバイスした。
「・・・・・・」
しょげてるお前の姿が電話から浮かんできたよ。

いいかいペペ、いや、柏 大五郎よ。
子供の頃には、俺を含め誰しもが夢をもっていた。
パイロット、電車の運転手、野球選手、歌手、ハリウッド・スター、そしてお前のようにプロレスラーを夢みていた者もいただろう。
しかし、成長していく上で、いつの間にか現実に妥協して、夢が夢であることに気づくのだ。
そして、他人の夢をうす笑う、夢のない大人になっていくのだ。
そして、俺のように、つまらん仕事につく連中がほとんどの世の中だ。
それは、それでしかたのないことで、皆が夢の職業につけるわけではないである。
皆が夢に職業についてしまっては、それはもう夢ではなくなってしまうからね・・・。
言葉を変えれば、お前は選ばれたのだ。
夢をつかんだ大人なのだ。
心の底から好きな職業を選び、それで飯をくっていこうとしている、数少ない選ばれた大人だと言える!
このことを誇りに思って、レスラー家業を続けてもらいたい。
そして、いつの日かメインイベンターとしてリングに上がってもらいたい。
頑張れペペ、いや、柏 大五郎。
今はつらいだろうが、負けるな大五郎。
笑いたい奴は笑え。
じゃぁ笑おう、アッハッハッハッハッハッハ!
皆で笑おう、アッハッハッハッハッハッハ!