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2007/04/10 火

ライオンキング・オブ・コメディ

【みゃ長の独り言】

俺の左手の甲に、長さ20cmほどのアザがある。
何のアザかって?
百獣の王、ライオンと格闘してできたアザなのよ。
いまだにヒリヒリと痛むぜ。
この痛みに耐えながら、コラム書いてます。

桜満開の日立台にFC東京をむかえた3月31日。
世間では、やれ「金町ダービー」だとか言って、戦前から対戦相手であるFC東京を意識していたが、俺自身は気負いも無く、かといって油断も無く、すんなりとキックオフをむかえられた。
持てる力をいかんなく発揮し、普段通りに戦ってくれればいいや、そう思っていた。
結果、2-0の勝利、まさしく無欲の勝利であった。

それにしても、達也と実の前線のコンビは、よく動く動く。
前半35分ごろ、右サイドから達也のクロスボールが、左サイドを走りこんでいた実に上がった。
追いつかねぇだろう・・・と思いきや、敵と競り合いながらボレーであわせて先制。
1点じゃ怖いな・・・。
後半、CKのこぼれ球を、古賀がドンッとけり込み2点目。
柏の選手たちは、とにかく走る。
次の日、スポーツ紙を読むと、『柏、絶好調』とか、『強い!ホンモノ!』とは、各紙大きく扱っている。
さすがJ1は違うな。

しかし、菅沼実のことを”ミノルーニー”って、皆が呼んでいると新聞に書いてあったが、本当に皆、呼んでるの?
どうも、”ミノルーニー”と聞くと、俺の中学の担任で、語尾に「ちゅーにー」を必ず付ける先生を思い出す。
「立ってろっちゅーにー」「騒ぐなっちゅーにー」となんでも、最後がちゅーにーだ。
ついたあだ名が”チューニー”。
細かいことをネチネチ注意してくる、嫌味な先生だった。
その名前が”ミノルーニー”とダブり、どうしても、その嫌いな先生を思い出してしまう。
”ミノルーニー”と”チューニー”、ダメ?

まぁ、とにかく勝つことはうれしいものだ。
でも、浮かれてはならない。
敵も研究してくるだろうし、これから夏場をむかえてどうなるかが勝負であろう。

さて、冒頭でお話した左手のアザであるが、このFC東京戦の時にできたアザである。
そう、FC東京戦の試合前に実施したネタである『獅子舞』の時である。
別にいまさら「金町ダービー」と意識したわけではないが、俺はFC東京戦に向けて、ごくごく身内にしか受けないであろうネタを探していた。
柏バカ一代を皆で歌うときに、誰が見ても「バカだねぇ・・・」と思うようなネタを探していたんだ。
そんな俺が探し当てたネタ、それが『獅子舞』だった。
桜満開の今だからこそ『獅子舞』、そう思ったんだ。
(オイ、そこ、「なんで?」なんて疑問に思うんじゃない!)
たむけん・・・?
あぁ、そうかもな。確かにパクッたかもしれません。

話は、FC東京戦より遡ること10日前。
「FC東京戦で獅子舞やりてぇ・・・。獅子舞、探してきて」
俺は太陽工務店のネタ調達係りであるゴワス(仮名)に頼んだ。
ゴアスは、何の躊躇もなく
「ゴワース(ハイ)・・・」
とひとつ返事だ。
が、しかし、獅子舞だけだと”たむけん”をパクッたなんて思われそうだったので、さらにこんな指令を出した。
「長崎くんちの龍踊りもやりたい」
「・・・・・・」
ゴアスは何を言ってるのか一瞬固まった。
「獅子vs龍のぶつかり合いをFC東京戦の試合前にやりたいから、龍も探してきて、こんなやつ」
長崎くんち
やっと理解できたゴアスが、
「ゴ、ゴ、ゴ、ゴアース(ハ、ハ、ハ、ハイ)」
と返事した。
想像してみて、ゴール裏のお立ち台に獅子舞。
その横の通路から長崎くんちの龍がドラの音と伴に登場し、獅子に戦いをいどむ。
まるで、ゴジラ対キングギドラのように・・・。
ゴール裏の観客は驚くよー。
「1mや2mのじゃなくて、巨大龍。本場、長崎のじゃないとダメだからね・・・」
「ゴッゴッゴッワース(ハッハッハーイ)!」
と、もうやぶれかぶれにゴアスは返事した。

それから数日後、獅子舞は地元神社の倉庫に眠っていたものを見つけ、ゴアスが神主に交渉して借りてきた。
「ゴアス、獅子舞でゴアス」
そう言って、桐の箱に入った獅子を俺に差し出した。
箱をあけてみると、獅子の頭が入っていた。
まさしく獅子舞であった。
早速、舞の練習である。
本番では、130cm×130cmのお立ち台の上になる。
本番を想定して、130cm×130cmの四角い線を引いて、その中で練習してみた。
しかし、獅子の躍動感を出すには、あまりにもスペース的に狭かった。
獅子舞だけでは、インパクトに欠ける。
やはり、龍が・・・、獅子に襲い掛かる龍がどうしても必要であった。
「龍はどうした?」
「ムリでゴアス。本場、長崎から取り寄せると70万円かかるでゴアス・・・」
うーむ、柏バカ一代を歌う時間、前説も含めて約2分。
その2分間のために70万円では、コストがかかりすぎでである。
下手すりゃ、芸人呼べるゾ。
あえなく、龍との対決は中止となった。
うーむ、ならばしょうがない、舞いながら獅子の口の部分から熱湯をまいて、周りの人間たちをなぎ倒そう・・・ということになった。
そして本番をむかえた。

俺は左手に熱湯のはいったポットを持ち、右手で獅子の頭を上下に動かしながら、口から熱湯をまこうとした。
だが、上手くいかず、ポットから熱湯がこぼれ、俺の左手にかかってしまったのだ。
その瞬間、とてつもない痛みが全身を走り、左手の甲には妙なアザができてしまった。
俺は、獅子の中で痛みをこらえながら、ひたすら舞っていたのだ。
水辺を泳ぐ白鳥は、その優雅な姿の水面下では激しく水をかいているのと同じように、勇猛に舞っている獅子舞の中では、熱さと痛さに耐えながら苦しむみゃ長の姿があったのである。
まさに、獅子奮迅である。

まぁ、身内だけに受ければイイやと思っていたら、意外にも一般客にも受けたので、まぁ良しであった。
なんといっても試合にも勝ったし、受けなくても、受けなくても良しである。
次は何でいこうかなぁ・・・。
俺の好奇心のアンテナは、今も張り巡らせている。