●どう立て直すかが大事
【みゃ長の独り言】
'70年代も終わろうとしてた頃、俺は高校の野球部をクビになった。
クビの理由はさておき、当時、不良仲間の間では”野球部クズレ”という言葉もあって、有り余った体力をどう発散させるのか、頭も悪く体力だけの俺は、必然的に不良少年という坂道をコロコロと転がり始めていった。
今回は、そんな俺の不良時代の話である。
ある日の事だった、いつも通り、俺は悪友であるタケ(仮名)の部屋で、タバコが焚き火のごとく煙る中、6人ほどの仲間と本当にくだらない話をしていた。
そこへ、先輩のワイベさん(仮名)がやって来て言った。
「お前等に俺の無敵のアイテムを見せてやるからよ、驚けよ」
俺たちは皆、別にそんなに見たいとも思わなかった。
なぜなら、ワイベさんが持ってくる話はいつも大げさで、実際にはろくでもない話ばかりで、いつも貧乏クジを引かされているからである。
しかし、俺たちはある事を知っていた。
ワイベさんのお父さんが無類の日本画好きで、好きを通り越して自分の背中に見事な日本画(昇り竜)が彫られていること。
そして、血のつながってない子供を数人ほど養子縁組するほどのマイホームパパという事を・・・。
「ぜひ見たいです」
俺たち6人は声をあわせて言った。
しかも引きつった笑顔だった・・・。
「そうか、そうか、そんなに見たいなら見せよう」
その顔は誇らしく、前歯の無い口元からは、歯茎と舌を覗かせながらの不気味な笑顔であった。
ワイベさんは、セカンドバックから新聞紙の包みを出した。
新聞紙の包みを取ると、油紙に包まれたあるものが・・・・・・。
どっからどう見ても、それがペストルと分かった。(フィクションです・・・)
ワイベさんは、油紙の中からブツを取り出した。
出たッ!何口径だが忘れたが、ちょっと小さめなピストル。
正に不良少年たちの無敵のアイテムであった。
モデルガンを旋盤屋の友人に改造させ、本物にしたと言うのであった。(本当にフィクションですよ・・・)
で、試し撃ちをすると言う事で、俺たちも来いと言うのであった。
まぁ、恐らく暴発が怖いので、替わりに後輩に撃たせ、その威力を試そうと言う魂胆だろう。
そして、その威力が確かなら敵対グループに、こいつでガツン!ズドン!という計画なのであります。
えーと、平たく言いますと、拳銃で脅かして暴走族から単車を奪い、その単車を別の暴走族に売って銭にする。
青春とはなんだと問いかけたくなるほどアコギな先輩なのです。
「シト殺しでも未成年だから3年だ。ただコレを使うと、もうちょっと長くなるだろうな・・・、でもコレのおかげで無敵だろう、俺たち・・・」
ワイベさんは、歯がないので「人」を「シト」と言ってしまいます。
「あっ、それとこの無敵のアイテムだが、玉は別売なんよ、そこで君たち、一人千円づつお金出しな、6人で6千円なっ」
やっぱ、そうきた。
やっぱり、大胆かつセコイ話だった。
でも、いくら弾だけとはいえ、6千円では火薬の代わりに胡椒でも詰めてんのかと思うくらい安い値だった事を、その時は気付かないほど頭が弱い僕たちだった。(何度も書くが、これはフィクションです・・・)
三日後、指定された造成地に僕たちは時間よりちょっと早目に集まった。
俺は、とてつもなく緊張していた。
しばらくするとワイベさんは、油紙に包まれたピストルと缶コーラを持って、颯爽と登場した。
おそらく缶コーラは的として用意してきたのだろう、5mほど先にそいつを置いた。
そして油紙から無敵のアイテムを取り出した。
次に試し撃ちする者の名前を呼ぶはずだ・・・。
俺は、絶対に試し撃ちに指名されたくなかった。
だって、インチキくさい改造銃だぜ、暴発でもしたら指持ってかれてしまうぜ。
心の中で「俺以外のだれかの名前が呼ばれますように・・・」と祈った。
そこに集まった6人は、皆そう思っていたに違いない。
ハヒフヘホが言えないワイベさんは、
「よし、シライ(本名は平井です)、お前が撃て」
と指名した。
俺たちは、口々に
「ヒラ、お前ツイてんな」
とホッとしながら言った。
「シジ(肘)曲げんな、よーおく狙えや、こいつを船橋のゴイタン(*)にぶち込んでやるぞ、俺達は無敵だぜ、いけ、撃て!シライ!」
(*:不良少年のことです。)
ヒライが、ガシャリと引き金を引く。
俺は、いよいよドラマでしか見たこと無い発砲シーンを生で見れると興奮してきた。(今一度書きます、フィ・ク・ショ・ンです!)
撃て、撃つんだ!ヒライ!
落ちた指も一時間なら、くっ付きます。
・・・ピュン!(音、ちっちゃ)
なんと弾は、コーラ缶手前で、野茂のフォークボールのように落ちた。
そして、その弾道は目に優しく、ハッキリと見えた。
「ハハハ、これは無敵だ」
と仲間のタケが笑った。
次の瞬間、ワイベさんの顔が仁王像のように変わり、ヒライの持っていたペストルを奪い、
「使い方が違うんだ!」
と唸るような低い声で言うと、思い切り近距離から、タケの顔面にピストルを投げた。
タケの顔面に、ピストルがみしりとめり込んだ。
どす黒い血が、鼻からドクドクと流れ出た。
そしてピストルがいつの間にかメリケンサックとなり、俺も含め残り5人も血だるまにされた。
確かに無敵のアイテムとなった。
「クソを掴まされた!」
ワイベさんが叫んだ。
そのクソで俺達は殴られた。
ワイベさんは、力まかせに無敵のアイテムを叩きつけた。
するとチュン!と小鳥のような優しい音がして、もう一発、弾が飛んだ。
その弾の飛行距離は約1mほどであった。
この世の中に、無敵のアイテムなんて便利なモノはない。
ましてや、無敵なんて状態も絶対にありえない。
今回、なんでこんな話をしたかというと、油断をするな!気を締めろ!ということが言いたかったのよ。
今、マスコミに『本当に強い柏!』『無傷の柏!』なんて囃し立てられているが、絶対にそんな甘い事は無い。
リーグで負けなしと喜ぶな!負けるときもある。
そのとき、どう立て直すかが勝負だ。
苦労して手に入れた改造銃が、本来の銃として使用できないのなら、すかさずメリケンサックで使うといった具合にだ!
常に俺たちはチャレンジャーだ。
それを忘れてはいけない!
'70年代も終わろうとしてた頃、俺は高校の野球部をクビになった。
クビの理由はさておき、当時、不良仲間の間では”野球部クズレ”という言葉もあって、有り余った体力をどう発散させるのか、頭も悪く体力だけの俺は、必然的に不良少年という坂道をコロコロと転がり始めていった。
今回は、そんな俺の不良時代の話である。
ある日の事だった、いつも通り、俺は悪友であるタケ(仮名)の部屋で、タバコが焚き火のごとく煙る中、6人ほどの仲間と本当にくだらない話をしていた。
そこへ、先輩のワイベさん(仮名)がやって来て言った。
「お前等に俺の無敵のアイテムを見せてやるからよ、驚けよ」
俺たちは皆、別にそんなに見たいとも思わなかった。
なぜなら、ワイベさんが持ってくる話はいつも大げさで、実際にはろくでもない話ばかりで、いつも貧乏クジを引かされているからである。
しかし、俺たちはある事を知っていた。
ワイベさんのお父さんが無類の日本画好きで、好きを通り越して自分の背中に見事な日本画(昇り竜)が彫られていること。
そして、血のつながってない子供を数人ほど養子縁組するほどのマイホームパパという事を・・・。
「ぜひ見たいです」
俺たち6人は声をあわせて言った。
しかも引きつった笑顔だった・・・。
「そうか、そうか、そんなに見たいなら見せよう」
その顔は誇らしく、前歯の無い口元からは、歯茎と舌を覗かせながらの不気味な笑顔であった。
ワイベさんは、セカンドバックから新聞紙の包みを出した。
新聞紙の包みを取ると、油紙に包まれたあるものが・・・・・・。
どっからどう見ても、それがペストルと分かった。(フィクションです・・・)
ワイベさんは、油紙の中からブツを取り出した。
出たッ!何口径だが忘れたが、ちょっと小さめなピストル。
正に不良少年たちの無敵のアイテムであった。
モデルガンを旋盤屋の友人に改造させ、本物にしたと言うのであった。(本当にフィクションですよ・・・)
で、試し撃ちをすると言う事で、俺たちも来いと言うのであった。
まぁ、恐らく暴発が怖いので、替わりに後輩に撃たせ、その威力を試そうと言う魂胆だろう。
そして、その威力が確かなら敵対グループに、こいつでガツン!ズドン!という計画なのであります。
えーと、平たく言いますと、拳銃で脅かして暴走族から単車を奪い、その単車を別の暴走族に売って銭にする。
青春とはなんだと問いかけたくなるほどアコギな先輩なのです。
「シト殺しでも未成年だから3年だ。ただコレを使うと、もうちょっと長くなるだろうな・・・、でもコレのおかげで無敵だろう、俺たち・・・」
ワイベさんは、歯がないので「人」を「シト」と言ってしまいます。
「あっ、それとこの無敵のアイテムだが、玉は別売なんよ、そこで君たち、一人千円づつお金出しな、6人で6千円なっ」
やっぱ、そうきた。
やっぱり、大胆かつセコイ話だった。
でも、いくら弾だけとはいえ、6千円では火薬の代わりに胡椒でも詰めてんのかと思うくらい安い値だった事を、その時は気付かないほど頭が弱い僕たちだった。(何度も書くが、これはフィクションです・・・)
三日後、指定された造成地に僕たちは時間よりちょっと早目に集まった。
俺は、とてつもなく緊張していた。
しばらくするとワイベさんは、油紙に包まれたピストルと缶コーラを持って、颯爽と登場した。
おそらく缶コーラは的として用意してきたのだろう、5mほど先にそいつを置いた。
そして油紙から無敵のアイテムを取り出した。
次に試し撃ちする者の名前を呼ぶはずだ・・・。
俺は、絶対に試し撃ちに指名されたくなかった。
だって、インチキくさい改造銃だぜ、暴発でもしたら指持ってかれてしまうぜ。
心の中で「俺以外のだれかの名前が呼ばれますように・・・」と祈った。
そこに集まった6人は、皆そう思っていたに違いない。
ハヒフヘホが言えないワイベさんは、
「よし、シライ(本名は平井です)、お前が撃て」
と指名した。
俺たちは、口々に
「ヒラ、お前ツイてんな」
とホッとしながら言った。
「シジ(肘)曲げんな、よーおく狙えや、こいつを船橋のゴイタン(*)にぶち込んでやるぞ、俺達は無敵だぜ、いけ、撃て!シライ!」
(*:不良少年のことです。)
ヒライが、ガシャリと引き金を引く。
俺は、いよいよドラマでしか見たこと無い発砲シーンを生で見れると興奮してきた。(今一度書きます、フィ・ク・ショ・ンです!)
撃て、撃つんだ!ヒライ!
落ちた指も一時間なら、くっ付きます。
・・・ピュン!(音、ちっちゃ)
なんと弾は、コーラ缶手前で、野茂のフォークボールのように落ちた。
そして、その弾道は目に優しく、ハッキリと見えた。
「ハハハ、これは無敵だ」
と仲間のタケが笑った。
次の瞬間、ワイベさんの顔が仁王像のように変わり、ヒライの持っていたペストルを奪い、
「使い方が違うんだ!」
と唸るような低い声で言うと、思い切り近距離から、タケの顔面にピストルを投げた。
タケの顔面に、ピストルがみしりとめり込んだ。
どす黒い血が、鼻からドクドクと流れ出た。
そしてピストルがいつの間にかメリケンサックとなり、俺も含め残り5人も血だるまにされた。
確かに無敵のアイテムとなった。
「クソを掴まされた!」
ワイベさんが叫んだ。
そのクソで俺達は殴られた。
ワイベさんは、力まかせに無敵のアイテムを叩きつけた。
するとチュン!と小鳥のような優しい音がして、もう一発、弾が飛んだ。
その弾の飛行距離は約1mほどであった。
この世の中に、無敵のアイテムなんて便利なモノはない。
ましてや、無敵なんて状態も絶対にありえない。
今回、なんでこんな話をしたかというと、油断をするな!気を締めろ!ということが言いたかったのよ。
今、マスコミに『本当に強い柏!』『無傷の柏!』なんて囃し立てられているが、絶対にそんな甘い事は無い。
リーグで負けなしと喜ぶな!負けるときもある。
そのとき、どう立て直すかが勝負だ。
苦労して手に入れた改造銃が、本来の銃として使用できないのなら、すかさずメリケンサックで使うといった具合にだ!
常に俺たちはチャレンジャーだ。
それを忘れてはいけない!